RE水素
システム
■RE水素
システム概要
RE水素システムでは、水電解装置によって水と再生可能エネルギーである太陽光から水素と酸素を作り、 燃料電池によって水素と酸素から発電します。
その電力は、フグの陸上養殖場という負荷(エネルギーを使うもの)に供給されます。
ただ電力を供給するだけではなく、水電解と燃料電池による発電の過程で作られる酸素と熱も余すところなく利用しています。
さらに、システムのコストを下げるため、蓄電池の容量を小さくしています。
そこで重要になってくるのが
EMS(Energy Management System)です。

■全体のシステム
構成概要
日中など太陽が出ている時は、太陽光から発電し、負荷である養魚槽ポンプへ電力を供給します。
同時に、余剰電力は水電解装置に供給します。
水電解装置では、水素と酸素が発生します。
水素と酸素はタンクへ貯蔵され、酸素は養魚槽の溶存酸素濃度上昇に使われます。
これにより、フグの成長を促進させます。
水電解により、熱も出ますが、この熱もやはりフグの成長を促進させるため、
養魚槽の水温調整に使われます。
全体のシステム構成(日中)
全体のシステム構成(日中)
夜間や曇天時など太陽光から発電出来ない時には、燃料電池で発電を行うため、
タンクに貯蔵した水素を使います。
水素を空気中の酸素と結合させることにより、電気と熱が発生します。
負荷である養魚槽へ電力を回し、熱は水電解装置が動作している時と同じく養魚槽の水温調整に使います。
全体のシステム構成(夜間)
全体のシステム構成(夜間)

■制御上のシステムの特徴
水電解装置は急激な電力変動があると劣化するため、蓄電池を介することで電力の変動を緩和します。従来のシステムでは、蓄電池に大容量のものを使っていました。制御上は簡単になりますが、蓄電池価格が高くなり、大幅なシステムコストの上昇につながります。
従来のシステム
従来のシステム(概念図を示しており実際のシステムとは異なる部分があります)
それに対し壱岐のシステムでは、小容量の蓄電池を使っています。太陽光パネルでの電力変動に関しては、気象データを利用しAIで解析して予測しています。この方式では従来のシステムに対してEMSの役割が重要になりますが、システムのコストを大幅に下げることが可能となります。
壱岐のシステム
壱岐のシステム(概念図を示しており実際のシステムとは異なる部分があります)
このように、壱岐市の陸上養殖場に、電力だけでなく、システムの副産物である酸素や熱まですべて使う、本格的な

「水素貯蔵型マルチエネルギーシステム」

を構築、実証試験を進めており、世界的にも注目されています。 このシステムはEMSを有効に活用することで、蓄電池容量を最小化、全体の構築コストを下げています。
副産物も含め地域事業に寄与することで、実効的なコストを下げることが示されています。
実証実験システムを長期間稼働することにより、いろいろな問題点も明確になり今後その問題を解決し進めていきます。 特に、システムコストを下げるとともに、壱岐での太陽光発電が冬季は非常に小さいため、これに対応する再エネのハイブリッド化も重要な課題です。全島100%再エネ化の実現にも重要な知見です。